俺がとり憑かれていた時の話をテキトーにする:7

それから1ヶ月ほどして、Tちゃんのバイトするカフェに行くことになった。
ランチも終わって午後のゆっくりした時間のほうが、Tちゃんともお話できるだろう、という目論見で、Kちゃんと二人、そのカフェに出かけた。Tちゃんはカウンターにいた。

「いらっしゃいませ」

こちらに目を向けて微笑んだTちゃんの、その顔を見て私は固まった。真っ黒だった。
Kちゃんはまったく気づかないようで、カウンター席に座ってTちゃんと談笑している。
私は急に居心地が悪くなり、その時何を注文したのか、それは美味しかったのか、そんなことは一切記憶に残らなかった。
ニコニコしながら話しているTちゃんに向かって、何度「何か困ってることでもあるの?」と訊こうとしたかわからない。だが、それを訊いてしまったら、次は私の番である。
その場をやり過ごすのが辛くて仕方なかった。

それから更に1ヶ月後、Kちゃんから電話があった。

「Tちゃんのお葬式があった」

中学からの同級生であったKちゃんへ、Tちゃんの訃報が届いた。別の同級生からの報告だった。
地元にある有名な観光地の橋から飛び降りたらしかった。理由は誰にも心当たりがなかった。

当日Tちゃんのクルマが、橋の袂の駐車場にあったのを近所の人が目撃しており、すぐに警察へ連絡がいったそうだ。(休日でもない時にクルマが停まっているのがおかしいと思ったらしい)
捜索の結果、Tちゃんが発見されたのだと、Kちゃんは教えてくれた。

KちゃんはTちゃんの家に焼香に行くのだが、私にも来るかと尋ねた。私は断った。

立て続けにあった事件で、私は精神的にかなり消耗していたと思う。
それでもバイトは続けなければならないし、会社へ行っていた。

とある土曜日、その日は1日中会議をするので、私ひとりが電話番としてフロアに残された。
同じフロアにある他の部署は全部お休みで、そこにいるのは私ひとりだった。

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