俺がとり憑かれていた時の話をテキトーにする:5
その晩、私は夢を見た。
会社のビルのエントランスにあるエレベーター。朝のラッシュですでに満員。
乗れないので次を待つことにした。目の前で閉まろうとする扉。
社内の人達でぎゅう詰めのその一番奥から、申し訳なさそうにこちらを見るAさん。
エレベーターの扉が静かに閉じる。
「ああ、やっぱり来ちゃったか」
私は夢の中でそう思った。
それから1週間、きちんと3食とっているはずなのに、私の体重は10kg近く落ちた。
さすがにフラフラになって仕事にでかけるのも大変だった。
医者には行ったが原因は特にみつからず、薬も処方されない。
もしかしたら。
他に解決法が思いつかなかったので、両親が信用している霊能者に相談することにした。
うちの両親はその当時、毎週その霊能者のところへ出かけてお祓い? を受けていた。
2~3時間ほどお経を上げてもらうのだが、そのとき私はトランス状態になって泣き出した。
このへんはよくテレビで除霊とかやってるのを観る人もいるだろうけど、あれを思い出してもらうといいかな。まったくあの通りで、なんだかわからないうちに喋りだしたりするのである。
で、その時も、「体調が悪いんですけど医者では原因不明で」みたいな相談をした。
それでお経を上げているうちに、突然倒れて泣いて喋りだしたわけだ。
自分の意識ははっきりしているんだけれども、体がまったくいうことをきかない。
自分じゃない声で、ひいひいと泣いている。
心の中もふたつにわかれているように、このときは感じた。
冷静な自分と、悲しくて死にたくて仕方ないAさんの気持ち。
この時初めて私はAさんにとり憑かれているのだとわかった。
お経が終わってから、霊能者に、以前も母の友人が死んだ時に夢をみて、死ぬ前の顔が真っ黒だったということを話した。だけどおばさんの時のように襲って来なかったから、とり憑かれてはいないだろうと思っていた。というか、おばさんには襲われたけど、別にとり憑かれてないし。
霊能者の答えはこうだった。
「それは単にAさんが控えめな性格だという話で」
そんなわけで、私はAさんとお別れをするために、この霊能者のところへしばらく通うことになった。
完全に切れるまでどのくらいかかるのか、さっぱりわからない。
そして普段の生活の中でも、ふとしたときに、いきなりAさんが出てきて泣き出して、「悲しいの、悲しいの」と、彼女の口調でしゃべりだすようになった。
友達と遊んでいるときに突然これになった時などは、相手も慌てるし、こちらもどうしてよいかわからないし、混乱することもあった。
私の生活はめちゃくちゃになった。
会社のビルのエントランスにあるエレベーター。朝のラッシュですでに満員。
乗れないので次を待つことにした。目の前で閉まろうとする扉。
社内の人達でぎゅう詰めのその一番奥から、申し訳なさそうにこちらを見るAさん。
エレベーターの扉が静かに閉じる。
「ああ、やっぱり来ちゃったか」
私は夢の中でそう思った。
それから1週間、きちんと3食とっているはずなのに、私の体重は10kg近く落ちた。
さすがにフラフラになって仕事にでかけるのも大変だった。
医者には行ったが原因は特にみつからず、薬も処方されない。
もしかしたら。
他に解決法が思いつかなかったので、両親が信用している霊能者に相談することにした。
うちの両親はその当時、毎週その霊能者のところへ出かけてお祓い? を受けていた。
2~3時間ほどお経を上げてもらうのだが、そのとき私はトランス状態になって泣き出した。
このへんはよくテレビで除霊とかやってるのを観る人もいるだろうけど、あれを思い出してもらうといいかな。まったくあの通りで、なんだかわからないうちに喋りだしたりするのである。
で、その時も、「体調が悪いんですけど医者では原因不明で」みたいな相談をした。
それでお経を上げているうちに、突然倒れて泣いて喋りだしたわけだ。
自分の意識ははっきりしているんだけれども、体がまったくいうことをきかない。
自分じゃない声で、ひいひいと泣いている。
心の中もふたつにわかれているように、このときは感じた。
冷静な自分と、悲しくて死にたくて仕方ないAさんの気持ち。
この時初めて私はAさんにとり憑かれているのだとわかった。
お経が終わってから、霊能者に、以前も母の友人が死んだ時に夢をみて、死ぬ前の顔が真っ黒だったということを話した。だけどおばさんの時のように襲って来なかったから、とり憑かれてはいないだろうと思っていた。というか、おばさんには襲われたけど、別にとり憑かれてないし。
霊能者の答えはこうだった。
「それは単にAさんが控えめな性格だという話で」
そんなわけで、私はAさんとお別れをするために、この霊能者のところへしばらく通うことになった。
完全に切れるまでどのくらいかかるのか、さっぱりわからない。
そして普段の生活の中でも、ふとしたときに、いきなりAさんが出てきて泣き出して、「悲しいの、悲しいの」と、彼女の口調でしゃべりだすようになった。
友達と遊んでいるときに突然これになった時などは、相手も慌てるし、こちらもどうしてよいかわからないし、混乱することもあった。
私の生活はめちゃくちゃになった。
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