俺がとり憑かれていた時の話をテキトーにする:2
Aさんは実に気さくで丁寧、心遣いが細やかで、当時まだ若かった私には「これが大人の女性というものか」と感動するくらいのできた女性であった。
同じ受付嬢のBさんでさえも、「憧れの女性はAさん」といってゆずらないくらい素敵な女性だ。
ところで、受付嬢のBさんとは歳が同じだったこともあって、割といろんなことをしゃべったり、就業後に遊びに行ったりした。
Bさんが喫煙室に行くときは、私は吸わないのに無理矢理連れていかれてしゃべりたおしていたり、まあそんな感じで仲が良かったといってもいいかもしれない。
ただ、外見オタクな私と、今風にいえばギャル系なBさんが仲がいいというのは、周りからはちょっと不思議がられていたw
そんなわけなので、Aさんが素晴らしい女性であることは、普段の彼女からも、Bさんからの情報でも知ることはできた。
だが、ここでひとつ、重大な問題がある。
私は一目みたときからAさんが大嫌いなのだ。
Aさんからはいじめを受けたわけでもないし、普段の行動からAさんを嫌う理由など何一つないのに、私はとにかく彼女が大嫌いだった。
いわゆる「不良が委員長を嫌う」ような、世の中に対して拗ねた気持ちからでもない。
理由はたったひとつ。
彼女の顔が真っ黒に見えたこと。
それだけである。
何故顔が真っ黒に見えるのか、それには理由があった。
彼女があちらの世界に引きずり込まれていることを示すものだ。
これは私の経験上の判断である。
高校生の頃、母の友人の見舞いに行った。
小学生の時に、よく一緒に旅行したこともあり、よく知ったおばさん、という感じのつきあいだった人だ。
母と一緒に見舞いに行ったはいいが、何故か私は入り口の大きな待合室で待たされ、おばさんの病室まで行ったのは母だけである。
待合室のテレビをぼーっと観ながら座っていたら、母と一緒におばさんがやってきた。
病院の寝間着のままのおばさんは、昔の面影もないほどやせ細っており、そのおばさんの顔はAさんと同じく真っ黒に見えた。
だがそんなことを本人に伝えるのはいけない気がして、母と二人でおばさんに挨拶をして家へ帰った。
帰り道、「おばさんの顔が真っ黒に見えたけど、何の病気なの?」と母に訊いた。
おばさんは胃がんだった。
それから数週間後に、私は夢を見た。
高校の教室で友だち数人とおしゃべりをしていたら、その中のひとりが突然机に突っ伏した。
他の友達と「☓☓ちゃん、大丈夫?」と声をかけた途端、その子は顔を上げ、私に向かって両腕を伸ばしてきた。
私はとっさに右手を振り回し、その子に襲われないよう防いだ。
彼女は必死の形相で私にしがみつこうとする。
だがその顔は、友達の顔ではなく、母と見舞いに行ったあのおばさんの顔だった。
恐怖で一度目が覚めたが、そのまま寝直し、朝になってから母と父に変な夢を見た、と話した。
すると父が「そういえばお母さん、寝言でお経唱えてたぞ」と言った。
三人とも黙ったところへ電話が鳴った。
おばさんが亡くなった報せだった。
このときのおばさんの顔色と、Aさんの顔色はまったく同じだった。
だがAさんの健康状態はいたって良好なようだった。
同じ受付嬢のBさんでさえも、「憧れの女性はAさん」といってゆずらないくらい素敵な女性だ。
ところで、受付嬢のBさんとは歳が同じだったこともあって、割といろんなことをしゃべったり、就業後に遊びに行ったりした。
Bさんが喫煙室に行くときは、私は吸わないのに無理矢理連れていかれてしゃべりたおしていたり、まあそんな感じで仲が良かったといってもいいかもしれない。
ただ、外見オタクな私と、今風にいえばギャル系なBさんが仲がいいというのは、周りからはちょっと不思議がられていたw
そんなわけなので、Aさんが素晴らしい女性であることは、普段の彼女からも、Bさんからの情報でも知ることはできた。
だが、ここでひとつ、重大な問題がある。
私は一目みたときからAさんが大嫌いなのだ。
Aさんからはいじめを受けたわけでもないし、普段の行動からAさんを嫌う理由など何一つないのに、私はとにかく彼女が大嫌いだった。
いわゆる「不良が委員長を嫌う」ような、世の中に対して拗ねた気持ちからでもない。
理由はたったひとつ。
彼女の顔が真っ黒に見えたこと。
それだけである。
何故顔が真っ黒に見えるのか、それには理由があった。
彼女があちらの世界に引きずり込まれていることを示すものだ。
これは私の経験上の判断である。
高校生の頃、母の友人の見舞いに行った。
小学生の時に、よく一緒に旅行したこともあり、よく知ったおばさん、という感じのつきあいだった人だ。
母と一緒に見舞いに行ったはいいが、何故か私は入り口の大きな待合室で待たされ、おばさんの病室まで行ったのは母だけである。
待合室のテレビをぼーっと観ながら座っていたら、母と一緒におばさんがやってきた。
病院の寝間着のままのおばさんは、昔の面影もないほどやせ細っており、そのおばさんの顔はAさんと同じく真っ黒に見えた。
だがそんなことを本人に伝えるのはいけない気がして、母と二人でおばさんに挨拶をして家へ帰った。
帰り道、「おばさんの顔が真っ黒に見えたけど、何の病気なの?」と母に訊いた。
おばさんは胃がんだった。
それから数週間後に、私は夢を見た。
高校の教室で友だち数人とおしゃべりをしていたら、その中のひとりが突然机に突っ伏した。
他の友達と「☓☓ちゃん、大丈夫?」と声をかけた途端、その子は顔を上げ、私に向かって両腕を伸ばしてきた。
私はとっさに右手を振り回し、その子に襲われないよう防いだ。
彼女は必死の形相で私にしがみつこうとする。
だがその顔は、友達の顔ではなく、母と見舞いに行ったあのおばさんの顔だった。
恐怖で一度目が覚めたが、そのまま寝直し、朝になってから母と父に変な夢を見た、と話した。
すると父が「そういえばお母さん、寝言でお経唱えてたぞ」と言った。
三人とも黙ったところへ電話が鳴った。
おばさんが亡くなった報せだった。
このときのおばさんの顔色と、Aさんの顔色はまったく同じだった。
だがAさんの健康状態はいたって良好なようだった。
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